歯の根の中の神経や血管など(あわせて歯髄と呼ばれます)が通っている管を根管と言います。 歯髄は根の先端から歯の中に入り、歯の成長発育に重要な役割を果たします。 しかし、成人になり歯が成長したあとは、歯髄がなくても根のまわりからの栄養供給によって歯は生存できます。
歯の根の治療である根管治療(歯内療法とも呼ばれます)は虫歯や歯の破折などの様々な原因により歯髄が炎症や感染を起こした時に必要になります。
炎症や感染をそのまま放置しておくと、 歯が痛んだり、根の周囲の組織に炎症が広がったり、歯肉が腫れたりします。 場合によってはリンパ節が腫れたり発熱したりと全身的にも影響が出ることもあります。またレントゲンなどで見つかることもよくあります。 根管治療によって、これらの症状が軽減したり、治癒したり、予防できたりするのです。
根管治療では、痛んだ歯髄を除去して、根管を注意深く清掃し、 再度の感染を防ぐために根の中に詰め物をします。このように歯髄を除去する治療法を抜髄と呼びます。
一方、以前に根管治療が終了している根が再び感染してしまった場合にも、根管治療が行われます。 この場合の治療法は、感染根管治療と呼ばれます。
根の先にできた病気の原因は根管の中の細菌であり、根管治療ではそれを取り除く治療を行います。 しかし、歯の根管はまっすぐな管ではなく、曲がっていたり、枝分かれしていたりするため、 一度細菌に感染してしまった根管を完全に無菌化することは非常に困難です。 また その他さまざまな原因で、一度症状が治まっても再発する場合もあります。 これまでの報告では根の先に病気のある歯の根管治療の成功率は、60~80%程度とされています。
治療前 左下奥歯 大きな虫歯により根の先に炎症ができ、レントゲンで大きな影が確認できます。
治療後(約2年後) 治療に関しては時間はかかりましたが、根の先の影が消えているのが確認できます。親知らずの周りに影がまだあるので今後も経過観察が必要です。